家づくり通信
2026年9月_ vol5 テキスト版
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このページを誌面で見るたっちゃんの家づくり通信
2026年9月発行
株式会社TATEKATA
第5号
家づくりのリアルをやさしく解説
秋のご挨拶――この夏、あらためて考えたこと
朝晩に、少し涼しい風が混じるようになりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
まずはじめに、7月28日に発生した熊本の地震で被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く穏やかな暮らしが戻りますよう、お祈りしております。皆様のお住まいに、被害はございませんでしたか。
お隣の県ということもあり、この夏は私も、家づくりに関わる人間としてずいぶん考えさせられました。そのお話は中面で。
さて、前号でお伝えした「ナフサショック」(建材の原料になるナフサの世界的な不足)のその後です。結論から言うと、一時期よりかなり落ち着きました。
材料を切り替えた業者さんは一部あったものの、鹿児島で「現場が止まる」ほどの混乱は起きていません。都市部ほど需要が集中しない地方の強みが出た形かなと思います。
ただ、少し気に留めておいていただきたいことがあります。大きな地震のあとは、被災された地域の復旧に材料も職人さんも集まります。2016年の熊本地震のときも、鹿児島から多くの方が応援に向かわれました。まずは現地の復旧が最優先。そのうえで、これから建てられる方は工期に余裕を持って計画されると安心です。
こんなときに恐縮ですが、嬉しいご報告もひとつ。この8月29日の「かごしま錦江湾サマーナイト大花火大会」に、日頃お世話になっている皆様100名様をご招待しました。場所取りが大変な大会なので有料観覧席をご用意したところ、なんと1日で満席に。ここまで手を挙げていただけるとは思っておらず、ありがたい限りです。
今号は、この夏いちばん考えていたことをそのまま特集にしました。ぜひ最後までお付き合いください。
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このページを誌面で見る真夏に電気が止まったら、
その家で過ごせますか
2016年熊本地震、犠牲者の8割は
建物の倒壊ではありません
ご挨拶で触れた地震の話です。2016年の熊本地震で亡くなった方のうち、建物の下敷きや火災といった直接の被害によるものは全体の2割ほどでした。残りのおよそ8割は「災害関連死」で、避難所での体調悪化やエコノミークラス症候群など、揺れそのものではない理由によるものです。
報道で目にするのは、どうしても倒れた家や救助の場面です。私も以前は、家さえ倒れなければ何とかなると思っていました。でも、本当に大変なのはその後なんですね。
熊本地震の犠牲者
災害関連死 避難所での体調悪化など 約8割
建物の倒壊・火災など 約2割
真夏の停電が、いちばん怖い
真夏に大きな地震が来て、電柱が倒れ、電気が届かなくなったとします。
ご自宅は無事です。倒れていません。でも、エアコンは動きません。冷蔵庫も止まります。スマホの充電もできません。
断熱性能の高い家でも、閉め切ったままでは室温はぐんぐん上がっていきます。小さなお子さんや高齢のご家族、ペットがいるご家庭では、命に関わる状況になりかねません。
結局、家は無事なのに避難所へ向かうことになる。そしてそこで体調を崩す。あの8割という数字の中には、こうしたケースも含まれています。
大げさに聞こえるかもしれないので、数字をひとつ。
鹿児島市の猛暑日(最高気温35度以上)は、1990年代は年に2.4日でした。それが2020年代は29.7日。10倍以上です。熱帯夜(夜になっても25度を下回らない日)も、15.6日から57.8日に増えています。
今から建てる家に、皆様は30年後も40年後も住んでいらっしゃるはずです。暑さをしのげるかは、もう好みの話ではなく、住み続けられるかどうかの話です。
太陽光は「元が取れるか」で
選ぶ設備ではありません
「太陽光って、元が取れるんですか」というご質問を今でもよくいただきます。でも私は、その問い自体がもう時代に合わなくなってきたと思っています。
不思議なもので、耐震にとことんこだわる方ほど「太陽光は要りません」とおっしゃいます。私はここが逆だと思っているんです。
太陽光がのっていれば、停電しても昼間は発電します。曇りの日でもゼロにはなりません。ただし停電時は自立運転(停電のときだけ使う非常用のモード)に切り替える必要があり、使えるのは専用コンセント1口分ほど。それでも、冷蔵庫を動かす、スマホを充電する。そのくらいの電気は確保できます。生き延びるための電気です。
エアコンまで動かすとなると、次のお話です。
耐震性能は家を守り、太陽光は暮らしを守る。私はそう考えています。
「じゃあ蓄電池も要りますよね」とセットで聞かれます。ここは正直、ご家庭で答えが変わります。
家庭用の蓄電池は10kWhほどで200万〜300万円あたり。一般的なご家庭が1日に使う電気がおよそ12kWhですから、ざっくり1日分弱です。
一方、電気自動車は50〜80kWhと、その5倍から8倍。ただし車両が300万円台から500万円台のうえ、車の電気をそのまま家では使えません。V2H(車の電気を家に送る機器)が必要で、工事費込みで100万〜200万円ほど。決して安くはありませんが、電気自動車もV2Hも補助金の対象になることがあります。
車に乗らないご家庭、災害時に車が出払っているかもしれないご家庭なら蓄電池。買い替えを考えているなら、電気自動車も選択肢です。
太陽光、蓄電池、電気自動車。この3つはもう、別々に考える時代ではなくなりました。
止まるのは電気だけではありません。今回の地震でも広い範囲で断水が起きました。エコキュートなど、お湯をタンクに貯める給湯器には、お湯や水が残っていて、非常時に取り出せるものがあります。ただし飲み水ではなく、トイレや洗い物に使う生活用水とお考えください。ご自宅の設備が該当するか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
家庭用蓄電池
10kWh
停電時 1日分弱
200万〜300万円
電気自動車 + V2H(車の電気を家に送る機器)
50〜80kWh 蓄電池の5〜8倍
停電時 約4〜8日分
車両300万〜500万円台 + V2H工事費込み100万〜200万円
※電気自動車もV2Hも補助金の対象になることがあります
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このページを誌面で見るどんなに強い家を建てても、
土地が弱ければ住めません
地震で家に住めなくなる
理由は、3つあります
家づくりのご相談で「耐震等級3を取りたい」とおっしゃる方が増えました。消防署や警察署なみの、いちばん高いレベルの耐震性です。私も基本は取っておくべきだとお伝えしています。
ただ、正直に申し上げると、耐震等級だけでは、私はまだ安心できないんです。
家に住めなくなる理由は、大きく3つあると考えています。
ひとつめは、建物が壊れること。これは耐震等級や構造計算で、かなり防げます。ただし一度きりの揺れに対しての話です。2016年の熊本地震では、最初の揺れに耐えた家が28時間後の本震で倒れました。地震は繰り返し起きますし、ダメージは蓄積します。
ふたつめは、地盤が沈んだり、液状化(揺れで地面が泥水のようになる現象)が起きたりして、建物が傾いてしまうこと。家そのものは無傷でも、傾いた家に住み続けることはできません。
みっつめが、土地そのものが壊れることです。高低差のある土地で擁壁(ようへき=土を支える壁)が崩れる、のり面(切り土や盛り土でできた斜面)が流れる。地面がなくなってしまえば、どんなに強い家でも住めません。
強い家をつくることと、強い場所に建てること。この2つは、まったく別の話なんですね。
1
建物が壊れる
耐震等級・構造計算で防げる
2
地盤が沈む・液状化
家は無傷でも傾いたら住めない
3
土地そのものが壊れる
擁壁の崩れ・のり面が流れる
能登半島地震が教えてくれた
「地盤」の怖さ
分かりやすいのが、能登半島地震です。被害が大きくなった理由は、揺れの強さだけではありませんでした。要因のひとつが、地盤の弱い地域が多かったことです。
液状化が広く進み、地割れが起き、地面が隆起して海岸線が変わり、港が使えなくなった地域もありました。それまで海だったところが、陸になってしまったわけです。
もうひとつ、半島という地形も重なりました。集落へ向かう道が1本しかなく、寸断されると救助が入れない。土地選びでは、こうした逃げ道の有無も見ておきたいところです。
プロが土地を見るときの、
チェックポイント
具体的にどこを見ているのか、いくつかご紹介しますね。真っ先に開くのは、やはり地図です。
□ ハザードマップと液状化マップを確認する
□ その土地が昔どう使われていたかを調べる(田んぼ、川、埋め立てなど)
□ 擁壁やのり面があれば、その状態を見る
□ 出入りできる道が複数あるか。緊急車両が入れる道幅があるか
□ その道沿いに、倒れて道をふさぎそうな建物がないか
そして最後は、毎回かならず現地に足を運びます。敷地の中だけでなく、周辺をぐるっと歩いてみる。地図では分からないことが、歩くと見えてくるんです。
こうした不安のある土地は、たいてい相応に安くなっています。
私たちの仕事は、その安さの理由をご説明することだと思っています。「ここは安いですよ」ではなく、「安いのはこういう理由が考えられます。そのうえで、どうされますか」とお伝えする。決めるのはお客様ですが、判断材料をお出ししないまま話を進めることだけは避けたいのです。
つい建物のことばかりに目が行きますが、土地は買ってしまってからでは変えられません。土地を見に行かれる前に、一度ご相談いただけたらと思います。
ご相談はこちらから
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このページを誌面で見るCOLUMN
僕が家にいちばん求めるのは、結局「安心」でした
前号でお伝えした沖縄旅行、無事に行ってまいりました。3泊4日、海の見える一軒家を借りて、家族でシュノーケルとライフジャケットを抱えて、海に浮かぶだけの休日。去年よりのんびりできました。
ただ、最後は台風とにらめっこでした。飛ぶかどうか直前まで分からず、結局そこそこの風の中でのフライト。最後までひやひやしました。
さて、問題はここからです。家に着いたら、玄関前にAmazonの荷物が置かれたままになっていました。置き配です。4日間、ずっと。
それを見た瞬間に思いました。これ、留守なのが完全にバレているな、と。防災の話は毎日しているのに、僕自身、防犯はすっかり抜けていました。お恥ずかしい限りです。
最近、YouTubeやInstagramでも防犯カメラのご質問が増えました。宅配ボックスの置き場所、玄関まわりの照明、駐車場から玄関までの見通し。設計の段階でできることは、けっこうあります。
防災と防犯。別々のテーマのようでいて、行き着く先は同じでした。強い家がほしいわけでも、格好いい家がほしいわけでもない。ただ、心配せずに眠れる家がほしい。それだけなんですよね。来年の旅行までには、宅配ボックスを何とかします。
P.S. 編集後記
第5号を最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回は少し真面目な号になりましたが、この夏、頭から離れなかったことを書きました。
お客様から「もう一度建てるなら、どこにこだわりますか」と聞かれます。以前なら間取りや設備の話をしたかもしれませんが、今は迷わず、耐震と土地だとお答えします。住宅金融支援機構の調査では、金融機関が用意する住宅ローンの最長返済期間は2025年度に「50年」が最多でした。40年、50年と返し続ける前提の時代です。見た目の格好よさは10年で古くなりますが、安心して住み続けられることの価値は変わりません。
ご報告をふたつ。今号には来年のカレンダーを同封しました。昨年お休みしたら「あれがないと困る」とお声をいただいたので、今年は復活させました。もうひとつ、「タテカタアンバサダー」の募集を開始しました。詳細は同封のチラシをご覧ください。ぜひ皆様にご参加いただけると嬉しいです。
地震の話、土地の話。どちらも「聞いておいてよかった」と思っていただけたら嬉しいです。身近に「家づくりで悩んでいる人」はいませんか?土地のこと、お金のこと、間取りのこと、どんな小さなご質問でも構いません。「身近に相談できるお兄さん」として、いつでもお待ちしています。
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